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2019-07

崩れた米国流価値観②(08/12/11投稿分)

世界を覆う不平等
その路線は今や完全に行き詰った。21世紀の日本で起きたことをみても、それは明らかだ。
企業の作り出した付加価値の分配がおかしくなって、賃金は上昇せず、ほとんど株主への配当に向かった。「企業は株主のもの」というアメリカ型の思想に経営者がかぶれた。企業は従業員や地域社会とも深いかかわりを持つ社会的存在という視点を忘れたためだ。その結果、豊かさにおいて不平等だという嫉妬や恨みが社会を覆っている。

今回の金融危機で、アメリカでも金融機関の報酬の高さが問題視されて、上限を設けようという議論が出始めた。不平等という感覚が強く大きくなりすぎると、民主主義の存立基盤が揺らぎかねない。


「熱狂」の制御を
「ワシントン・コンセンサス」を撒き散らしてきたアメリカ自身が、自由主義経済の再構築に乗り出さざるを得ない。自由競争が人間の福祉を実現するには、行き過ぎやごまかし、不正がないような枠組みを作る必要がある。アダムスミス以来の原則だ。どういう法的規制が必要だったのかという反省を基に、まずは金融制度の再建から始まるだろう。


いつの時代も、人間の熱狂というのはすざましいものがある。かっては、十字軍、錬金術、今は投機だ。人間社会である限り、今後も大衆の熱狂という現象は避けられないので、熱狂を抑圧するシステムはうまく機能しない。

求められているのは、熱狂が膨れあがって大爆発を起こす前に、ガス抜きができるような経済システムだ。世界中で官民の知恵が試される。

        (国際日本文化研究センター所長・猪木武徳氏)


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